2020/08/14 12:03

 オーストラリア、アメリカを拠点にアジア太平洋地域の音楽コミュニティと連携する音楽コンサルタント"Gig Life Pro"のサイトにインタビュー記事が掲載されました。8月は、"Gig LifePro"自体が、日本の音楽シーンをフィーチャーしているとのことで、今回は主に沖縄での国際音楽カンファレンス、“Trans Asia Music Meeting(TAMM)”について話しています。
 また、今聴くべき沖縄のアーティストを紹介してほしいとのことで、TOSH、HARAHELLS、 ARAGAKIMutsumi 、the you、elementof the moment、Maltese rockのみなさんをレコメンドしました。

記事は以下のリンクから。
https://giglifepro.com/articles/trans-asia-music-meeting

(以下に、邦訳を掲載します)

Event Spotlight: Trans Asia Music Meeting

Name: Ryuji Noda
Event Date: TBA (Jan.-Feb.2021)
Location: Okinawa, Japan

Q:“Music from Okinawa”について教えてください。自己紹介もお願いします。
A:“Music from Okinawa”は、プロジェクト名です。私たちはこのプロジェクトを2014年にスタートしました。沖縄音楽を海外に紹介することと、アジアの音楽ネットワークを作ることを軸に活動を行っています。”Trans Asia Music Meeting”は、国際音楽カンファレンスです。”Sakurazaka ASYLUM”というサーキット型のフェスティバルをショーケースとして同時開催しています。私の役目はそのプロデューサーとディレクターです。

Q:なぜ"Music from Okinawa"を始めたのですか?
A:過去に沖縄音楽はワールドミュージックのシーンで取り上げられる機会が多くありました。沖縄という土地に根ざした多くの古典音楽や民謡は、沖縄の新しい世代のミュージシャンにも目に見えない影響を与えています。ルーツミュージックが背景にあるということは、ロックやポップスという分野の音楽においても、世界に届けることができるポテンシャルを持っているという確信がありました。沖縄音楽は、ワールドミュージックのエッセンスを強く持っていたので、3年間WOMEX(the World Music Expo)に出展しました。
沖縄のアーティストの中には、日本国内の音楽シーンで大成功を収めたアーティストが数多くいます。日本ではCDを軸にしたマーケットが構成されていましたが、今やサブスクリプションが主流です。そうした中で、私たちはアジアとの音楽ネットワークを構築しています。沖縄のアーティストに海外のマーケットに目を向けることの重要性を伝え、その海外発信をサポートしています。”Trans Asia Music Meeting”と”Sakurazaka ASYLUM”は、その出口の一つとして機能させています。

Q:”Sakurazaka ASYLUM”では、何組の地元バンド、海外バンドが演奏しますか? またどのようにブッキングしているのですか?  (バンドが申し込みをするのか、独自にバンドを探しているのか)

A:年によって変わりますが、毎年80〜100組のバンドが出演します。大半は沖縄のバンドと日本国内のバンドがです。海外からのバンドは10組ほど。今年は2月下旬の開催だったのですが、Covid-19の影響で多くがキャンセルになりました。基本はショーケースフェスティバルなので、オープンでの申し込みを受け付けます。海外からのバンドも1組でも多く受け入れていきたいと考えています。

Q:Trans Asia Music Meeting”には、どのような音楽関係者が参加していますか?
A:これまでは、沖縄とアジアの音楽ネットワークを作るという目的があったので、アジアからのDelegatesを中心に招いてきました。ここ数年は日本国内からも多くの方を招いています。しかし、もはや地域で分ける必要はないと考えているので、ヨーロッパやアメリカの音楽関係者にも声をかけています。フェスティバル・ディレクター、ブッキングエージェント、プロモーター、レーベル、デジタル・プラットフォーム、メディア、など多くの方が参加します。

Q:沖縄や日本から音楽を発信していく上での課題は何だと思いますか?
A:日本の音楽マーケットは国内のCDセールス中心に成立していたので、海外に対しては閉じた状態が続いてきました。しかし、今はサブスクリプションの時代で、海外マーケットを無視できません。アーティストのマインドは変わりつつあると思いますが、インディペンデントなアーティストでも気軽に海外に自身の音楽を発信するためのプラットフォームが必要です。現在はその新たなフォーマットを構築する作業を進めています。

Q:沖縄の音楽シーンはどんな感じですか? またどんな音楽が多いですか? ライブハウスはあるのでしょうか?
A:沖縄の小さな島々にあらゆる種類の音楽が息づいています。沖縄は第二次世界大戦後、27年間に渡ってアメリカの施政権下に置かれました。その中で、ロックやジャズが根づきました。一方で古典音楽やルーツミュージックの演奏者・愛好家も多くいて、日常に音楽があふれています。こうした土壌が現在の音楽シーンにつながっています。異種交配を繰り返して様々にミクスチャーされた音楽が生まれているのです。先に話したとおり、日本国内のマーケットで成功したアイドルやバンドも数多くいるので、音楽的な才能の宝庫として、長年多くの日本のメジャーレーベルが注目されています。現在は、他のアジアの国々と同様に、若い世代を中心にヒップホップのアーティストが増えています。現在もアメリカの基地が多く残っていたり、経済的にも日本本土に比べて立ち遅れているといったネガティブな状況の中で、自分たちで日々をよりよく変えていこうという姿勢が伝わる力強い作品が支持を集めています。ダンスチームの活動も非常に活発で、世界大会に出場するダンサーもいます。ライブ会場も音楽のジャンルによって多彩です。20〜30人規模のジャズクラブから1000人以上収容できるライブハウスまで非常に多岐に渡ります。いくつかの音楽フェスティバルも開催されています。

Q:"Music From Okinawa"として、ほかにどんなプロジェクトを行っているのですか?
A:私たちは音楽レーベルも持っています。普段は地元のアーティストをリリースしていますが、アジアのバンドのCDも配信しています。全国展開している代理店を使って販売するとなると、かなりの高額になってしまいます。なので、主にネットショップでの販売をしています。もし、日本でCDを販売したいと思っているアーティストがいれば、連絡してもらえればと思います。しかし、日本にファンがいないバンドの場合、日本でCDを売るのは難しいでしょう。先ほども言いましたが、私たちは新しいプラットフォームを準備しています。これがうまくいけば、海外のアーティストももう少し効果的にプロモーションできるようになると思います。ベータ版は今年後半にリリースの予定です。


Q:今、聴くべき沖縄のアーティストを教えてください。

TOSH (Indie rock)

HARAHELLS (Indie Rock)

ARAGAKI Mustumi(Another World of Okinawan Music)
https://www.youtube.com/channel/UCKHfduNrLeWGu9dsj3h7pVg

the you (Shoegazer)

element of the moment (Jazz)

Q:メッセージをお願いします。
A:"Music from Okinawa"は、沖縄の音楽を海外に紹介するというところからスタートしました。それは変わりませんが、同じように海外の音楽を受け入れて紹介していきたいと思っています。ネットワークは一方通行ではなく、双方向でなければなりません。
現在は2つの会場を運営しています。1つは最大300人収容の劇場。もう一つは最大1100人収容のクラブです。そして、日本でのCDの流通のお手伝いをさせていただくことができます。ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。
"Trans Asia Music Meeting"と"Sakurazaka ASYLUM"の次回の開催は未定ですが、10月頃には何らかの発表できると思います。
またお会いできることを楽しみにしています。