2020/01/31 11:58
"CAT EXPO" @ Bangkok
「Zandari Festa」は、アジア最大のショーケース・フェスティバル。イベントの直前になると、多くの出演アーティストから関係者あてに「自分たちのショーケースを見て欲しい」と直接メッセージが届きます。そうしたメールが届いたバンド・アーティストのショーには極力足を運びます。PYRAからもそんなメールが届いてライブ会場に足を運びました。
彼女に関する情報は、バンコクの出身で「Burning Man」でパフォーマンスを行った女性アーティスト。それだけでした。
ステージ上には彼女を含めて3人。タイの伝統音楽モーラムで使われる弦楽器ピンの奏者とDJというセット。ステージ上の彼女はとても目力が強く、自然に魅きつけられました。さらに客席を巻き込んでの怒涛のパフォーマンス。その場にいた観客の多くは、彼女の世界観の虜になったはずです。私もその一人でした。
その夜「素晴らしいパフォーマンスだった」と彼女にメールを送りました。
PYRAはすでに日本でCDをリリースしていて幾つかのサイトにインタビュー記事も掲載されていました。記事の一つにあったプロフィールには以下のように書かれていました。
(本文より)2016年に「Apple Music Best New Artist」に選出、2018年にはタイ(Joox Spotlight Artist)やジンバブエのコンテスト(Sunkist Freshly Picked Music Contest)でピックアップされ、世界最大の奇祭とも言われる「バーニングマン」でパフォーマンスした初のタイ人アーティストとなり、話題急上昇のアーティストがPyraだ。
スタートアップ企業のCEOとして働き、アメリカの企業から5万ドルの投資を受けたり、エリート中のエリートが所属する起業家クラブ「Kairos Society」のメンバーとしてアリババ社の創業者・ジャック・マーと親交を深めたりと、ミュージシャンとして活動する以前に、誰もが憧れるキャリアを積み上げてきた彼女。輝かしいその道を歩むにつれ「2つ以上のことを同時に成し遂げられない」ことを理解し、音楽を探求することになったという。
なかなかのプロフィールに、自分の立ち位置とややレイヤーが違うのかなと感じつつ、11月に再度彼女のパフォーマンスを見ることになりました。今度は彼女のホーム、バンコクで開催された「Bangkok Music City」というイベントです。
PYRAはこのイベントで2度パフォーマンスを行いました。一つはオープニングのレセプション、もう一つは100人も入れば人が溢れそうな、バーでした。
レセプションでのパフォーマンスは、ややアウェイ感もありつつ、それでもやはり独特の世界観を表現していました。このライブの後に挨拶をして少し話をしました。「日本には友人も多くて、来年(2020年)は、日本に滞在して制作をやりたいと考えている」とのこと。私は「沖縄でのイベントにぜひ出演して欲しい」と話して、とても前向きな印象を持ちました。
同じ11月後半、再びバンコクで彼女のパフォーマンスを見ることになります。地元で一番のラジオ局「CAT Radio」が開催する「CAT EXPO」。2日で6万人が集まる野外フェスティバルです。彼女はジェットコースターの前に作られたステージでパフォーマンスを披露しました。この日はサウンドチェックの時間が押してしまい、すべての曲を演奏できず、残念ながら100%の出来とはいきませんでした。
翌日、バンコク市内のカフェでPYRAと会って話をしました。「Sakurazaka ASYLUM」の出演に関するミーティングです。
昨夜のパフォーマンスは満足がいかなかったということでした。しかし「今夜はLucky TapesのKAI(高橋海)のステージに飛び入りして1曲一緒に演るの」とのことでした。
「Sakurazaka ASYLUM」への出演については、メールのやり取りを通じて内諾を得ていました。この日は具体的な交渉。彼女はスタートアップ企業のCEOを務めた経歴もあるせいか、またやりたいことがはっきりしているためか、話はシンプルでした。こちらから出せる条件はとても限られているので、そこを隠さずに提示して、お互いにコーヒーを1杯飲む間に話は終わっていました。
「この前◎◎とワールドワイドな契約にサインしたんだ」と、アメリカの大手のレーベルの名前を口にしました。何かがうまい具合に噛み合って、彼女がビリー・アイリッシュみたいな存在になりでもしたら、アサイラムに出てもらえるのも今回だけかもしれないな、なんて考えました。
PYRAはそんな不思議な期待を抱かせるアーティストです。彼女が「Sakurazaka ASYLUM」のステージに立つということは、ある種のミラクルです。2月22日(土)桜坂セントラルで、ぜひそのパフォーマンスに触れてみてください。
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