2019/03/09 22:24
諸説あるが、日本の三味線のルーツは、中国から沖縄に伝わった三絃(三線)が、本土に伝わったものとされる。津軽三味線も北前船で北陸を経て青森にたどり着いた。三線と津軽三味線。三本の弦で音を紡ぐ二つの楽器は、似ているようで、明らかに異なる。奏でられる音色からは、南と北、それぞれの土地の気候や人々の営み、歴史、様々なものが折り重なるようににじみ出る。
初代高橋竹山は、北海道から沖縄まで、全国津々浦々旅を続け、いつの間にか、津軽三味線の代名詞となっていった。
初代高橋竹山が頻繁に沖縄を訪れるようになったのは、那覇・国際通りのむつみ橋近く(現在のスターバックスコーヒーの地下)にあった、小劇場沖縄ジァン・ジァンに招かれてのことであった。
ジァン・ジァンでの初演は、杮落としの1980年2月20日と21日、最後の公演となったのは、閉館した1993年11月19日と20日の2日間だった。現在に連なる沖縄の芸術文化の礎を創った沖縄ジァン・ジァンの開館と閉館の舞台に、初代高橋竹山が立っていたことは印象的だ。
この間にどれだけ多くのウチナーンチュが、太棹の音色に触れたことだろう。初代高橋竹山、そして津軽三味線と沖縄との関わりは、ジァン・ジァンという場所がなければまた違ったものになったはずである。
二代目高橋竹山が、高橋竹与として初代高橋竹山と共に初めて沖縄ジァン・ジァンの舞台に立ったのは、1980年11月18日〜20日の3日間。すでに内弟子から自立した後で、初代高橋竹山と共に公演を行いながら独自の活動も行っていた。以後、海外での公演や他ジャンルのアーティストとのコラボレーションなど、独自の道を積極的に切り拓いていくことになる。
1990年代後半、二代目高橋竹山を襲名した彼女を沖縄に招いたことがある。その時は、沖縄のフォークシンガー佐渡山豊を介して、フォークシンガー友川かずきを含めた3人での公演であった。その時、スケジュールの1日を都合して、八重山の唄者、新良幸人と二人の公演を企画した。
初代高橋竹山は、今から40年前の1979年、八重山の唄者・大工哲弘と那覇、石垣島で共演している。その時の演奏を聴いた人は、その場で繰り広げられた二人の早弾き合戦がいかに印象的だったかということを話してくれた。そうした背景を知って公演を行ったのだ。
どこかでそうした早弾き合戦を期待する部分はあった。二代目高橋竹山と新良幸人の公演は、津軽三味線と三線、同じルーツを持つとされる楽器の音色がしなやかに絡み合う、静かに胸に迫るものであった。
今回の公演は、映画『津軽のカマリ』の沖縄公開に合わせて企画した。
2016年4月、再び二代目高橋竹山を招いて、新良幸人と公演を行った時、すでに映画『津軽のカマリ』の撮影はスタートしていて、大西功一監督がカメラを手に沖縄を訪れていた。その時の公演の様子が、映画に収められたかどうかは、実際に映画を見ていただければと思う。
今回の公演は、ピアノの小田朋美を伴っての公演となる。二代目高橋竹山が初代高橋竹山から受け継ぐ強い “魂”と、自らが切り拓いく津軽三味線の新たな可能性。その両方を感じられる公演になると期待している。
*文中敬称略
野田隆司(桜坂劇場 / Music from Okinawa)
映画『津軽のカマリ』公開記念
二代目高橋竹山 演奏会 with 小田朋美(ピアノ)
「初代高橋竹山を 語り、弾き、歌う」
ゲストトーク:大西功一監督(「津軽のカマリ」「スケッチ・オブ・ミャーク」)
故初代高橋竹山の生き様に迫る映画『津軽のカマリ』(大西功一監督)の沖縄公開を記念した、二代目高橋竹山による演奏会。
受け継がれた”魂”が向かう場所とは?!
日程:2019年3月20日(水)
会場:桜坂劇場 ホールA(沖縄県那覇市牧志3-6-10)
時間:開場18:30 開演19:00
料金:一般前売3,000円 当日3,500円(全席自由)
「津軽のカマリ」映画鑑賞券付ライブチケット 3,800円
*入場時別途300円の1ドリンクオーダーが必要。
<チケット販売店>
桜坂劇場窓口・リウボウ8階プレイガイド
コープあぷれ・ファミリーマート各店・イープラス
ローソンチケット(Lコード82297)・チケットぴあスポット(Pコード140-906)
お問合せ・電話予約=桜坂劇場098-860-9555
映画『津軽のカマリ』
舞台挨拶付き先行上映
日程:2019年3月21日(木・祝)
会場:桜坂劇場
上映時間:13:00
*上映終了後、大西功一監督・二代目高橋竹山さんの舞台挨拶を開催。
料金:1,500円(一律)
*招待券はご利用いただけません。