2017/12/07 08:52

【アルバム『why?』リリース記念】

上地gacha一也

勢理客オーケストラを語る。

 勢理客オーケストラは、上地gacha一也を中心に2005年に結成された。勢理客(ジッチャク)とは、上地が経営する、ライブハウスgrooveがある地名のこと。ハシケントリオやマルチーズロック、Rolly Roll BandShaolong To The Skyなど、様々なバンドのベースプレイヤーとして、国内外を飛び回る彼の、唯一のリーダー・バンドである。

 勢理客オーケストラとしては実質2枚目のアルバム『why?』のリリースに先立って、バンドの成り立ちやその音楽について、上地gacha一也の話を聞いた。

 

目指したのは、

少人数で最大限の表現をすること。

 勢理客オーケストラの結成は2005年です。きっかけは、舞踏の音楽を大勢で、即興でやるという企画でした。その時は20人ぐらいいました。パーマネントな形での活動をしたいと思ったので、メンバーをすぐに集めました。

 勢理客オーケストラとして活動を始めてからは最少5人、最大11人です。オーケストラと言うと普通はもっと人数がいますよね。そういう意味でのオーケストラというより、少人数で最大限の表現をすることを目指しました。

 勢理客オーケストラは、僕の唯一のリーダー・バンドなので、やりたい人と出来るのが面白いですね。でも、一旦音を出してしまうと、自分のものじゃないような気がします。

 リーダーだと他のメンバーのスケジュールを調整したりという仕事が増えるから大変です。

 

基地の問題や、島にある矛盾を

音楽で伝える。

 僕らは、基地の問題や、島にある矛盾を音楽で伝えるということを目指しました。でも、ポリティカルな方向に行きすぎないように、音楽として楽しめるようにということを常に意識してきました。より政治的、社会的な方向に行きたい気持ちはあるんですけど、音楽として偏るのは良くないと思っています。

 それぞれの立場がありますから、生活とか仕事の基盤が基地にあったとしても、おかしいことはおかしいということは必要だと思います。

でも、音楽として関わりたいという人は多いですよ。

 

イメージの重層から生まれる楽曲のコンセプト。

譜面はあっても即興が前提。

 曲はほとんど僕が書きます。曲によって、全部書き方が違うんです。メロディとコンセプトを照らしながら作ります。コンセプトは最初にあることが多いです。

 メンバーがいるので、メンバーのことをイメージして書くことも多い。例えば、いろんな国での反基地運動に照らしたり。賛成もいれば反対もいる、そのせめぎ合いみたいなところを、どちらの立場からも考えたりする。

 各パートを全部書いて、譜面をメンバーに渡します。曲によってはグラフィック・スコアで、図形を描いてそれを感じて演奏してもらう。実際に音を出してみないとサウンドするかどうかわからないので、楽器を持ち替えたりしながら演奏してみるんです。譜面はあっても基本、即興性が前提になっています。


(続く)


 勢理客オーケストラ / Jittyaku Orchstra

why?

01.different is good

02.1210

03.Do You Know You?

04.Kawaii Waltz

05.下北沢の少女の憂鬱

06.New Song

07.座り込めここへ

08.Graphic Garden

09.闘いはいらない

Music from Okinawa

MfO-010/定価2,160円(税込)

2018/12/15発売

 


勢理客オーケストラ / Jittyaku Orchestra プロフィール

桑原真理音 / Mario Kuwahara [alto-sax]

田原幸浩 / Yukihiro Tahara [tenor-sax]

二宮賢司 / Kenji Ninomiya [tenor-sax.baritone-sax]

小林しおり / Shiori Kobayashi [trombone]

滝川有人 / Aruto Takigawa [trumpet]

波平雄太 / Yuta Namihira [guitar]

城間和広 / Kazuhiro Shiroma [drums.toy]

上地”gacha”一也 / Kazuya gacha Uechi[double-bass]


沖縄の基地問題、環境問題、人種の問題をテーマに演奏するオーケストラ。スコアと即興を行き来するような演奏方法で、重い問題をテーマにしているがジャズの様々な伝統をユニークな表現で外向きへと提示している。

これまでに、off notegrooveの共同コンピレーションアルバム「Our Aurasian Thing's」、沖縄を代表する作曲家、普久原恒男のトリビュートアルバム「普久原メロディー」に参加。ピアニスト原田依幸、孤高のミュージシャン灰野敬二、沖縄民謡のフォーシスターズなどとも共演。

オキナワ発世界音楽のあらたな可能性を示す未曾有のオーケストラ。